ニュースリリース

2023年05月10日

2023年度 鉄道事業設備投資計画

~10月に運賃改定を実施し、さらなる安全対策等を推進します~

京浜急行電鉄株式会社(本社:横浜市西区、社長:川俣 幸宏、以下 京急電鉄)は2023年10月1日に約28年ぶりに行う運賃改定と併せて、さらなる安全対策やユニバーサルで快適な輸送サービスを推進するため、2023年度は総額295億円の設備投資を実施いたします。

本年度は引き続き品川駅付近や大師線の連続立体交差事業、車両の代替新造、ホームドア設置工事などを推進するほか、新たに全車両への防犯カメラ設置を進めてまいります。また照明設備のLED化といった環境負荷低減に向けた取り組み、羽田空港第1・第2ターミナル駅引上線新設工事や、今後の労働力不足や事業効率化を進めるうえで必須となるICT分野への投資など将来の成長に向けた投資についても着実に進めてまいります。

主な設備投資計画の内容は以下の通りです。

2023年度 鉄道事業 設備投資計画の概要

さらなる安全対策の強化(約160億円)

  • 連続立体交差事業の推進(品川駅付近・大師線)
  • 車両の代替新造、車内防犯カメラ設置
  • 踏切安全対策の強化
  • 激甚化する自然災害への対策

ユニバーサルで快適な輸送サービスの提供(約79億円)

  • ホームドア設置工事の推進
  • 駅改良工事(大規模改修、ホーム上家延伸等)
  • 車両更新工事(フリースペースの設置・窓の開閉化等)

環境負荷低減に向けた取り組み(約10億円)

  • 駅および車両照明設備のLED化
  • 省エネルギー設備への更新、駅舎補助電源装置の新設

将来の成長に向けた投資(約46億円)

  • 羽田空港第1・第2ターミナル駅引上線新設工事
  • 泉岳寺駅改良工事
  • 鉄道オペレーション変革に向けた取り組み(駅業務高度化など)

2023年度 設備投資計画の詳細について

さらなる安全対策の強化(約160億円)

連続立体交差事業の推進

品川駅付近(泉岳寺~新馬場駅間)連続立体交差事業

泉岳寺~新馬場駅間は、品川第1踏切道(八ツ山通り)をはじめとする計3か所の踏切道が存在し交通渋滞の要因となっています。そのため、東京都の都市計画事業として同区間を高架化し、3か所の踏切道を除却いたします。また品川駅の地平化および2面4線化を図り、利便性および安全性の高い駅へと再編いたします。2023年度も工事を推進し早期事業完了を目指してまいります。

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大師線連続立体交差事業

川崎市の都市計画事業である大師線連続立体交差事業のうち、段階的整備区間として、東門前駅付近~小島新田駅付近の約980mの区間を、2019年3月に地下へ切替えました。これにより、産業道路第1踏切道(東京大師横浜線)を含む4か所が除却されたことで、踏切事故の解消や、道路交通の円滑化が図られました。

2023年度は、引き続き地上部整備工事や、大師橋駅、小島新田駅の駅舎工事などを施工してまいります。

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地上部整備の現況

車両の代替新造、車内防犯カメラ設置

より安全で快適な車内環境をご提供するため、1000形8両編成1本、6両編成1本を代替新造いたします。また、近年の鉄道車内における傷害事件等の発生を受け、地上側でリアルタイムに映像の確認ができる新たな防犯カメラを2026年度末までに全車両に導入してまいります。

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踏切安全対策の強化

2019年9月に神奈川新町第1踏切道で発生したトラックとの衝突に伴う列車脱線事故を踏まえた対策等、踏切道のさらなる安全対策を進めてまいります。

踏切障害物検知装置

自動車が通行する踏切道(64か所)において、自動車の立ち往生を自動的に検知する装置を設置しており、従来の方式より検知機能を強化した機器へ更新を進めております。(2023年度は4か所実施予定)

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制動(ブレーキ)操作支援システムの導入

発光信号機が動作した際に、いち早く列車を停止または減速させるため、自動的にブレーキを動作させる「制動操作支援システム」の導入を進めております。

2022年3月から大師線の踏切に導入しており、本年度も引き続き、自動車や歩行者の交通量が多いボトルネック踏切道などで整備を進め、合計13か所に導入いたします。

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激甚化する自然災害への対策

近年増大する自然災害のリスクに備えるため、耐震補強工事、法面防護工事などを引き続き推進いたします。

  • 耐震補強工事:石積擁壁(神奈川駅付近)、架道橋橋脚(日ノ出町駅付近・南太田駅付近)ほか
  • 法面防護工事:上大岡~屏風浦駅間、六浦~神武寺駅間ほか
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神奈川駅付近石積擁壁補強工事
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日ノ出町駅付近架道橋橋脚補強工事

ユニバーサルで快適な輸送サービスの提供(約79億円)

ホームドア・ホーム固定柵設置工事の推進

お客さまのホームからの転落や列車との接触を防止するため、ホームドア・ホーム固定柵設置工事を進めており、昨年度までに12駅にホームドアを設置、2023年度と2024年度は計9駅の設置工事を進めてまいります。

設置完了済駅
(2022年度末)
(ホームドア)
平和島駅、京急蒲田駅、京急川崎駅、京急鶴見駅、京急東神奈川駅、横浜駅、日ノ出町駅、上大岡駅、追浜駅、汐入駅、羽田空港第3ターミナル駅、羽田空港第1・第2ターミナル駅
12駅
2023・2024年度
設置予定駅
(ホームドア)
青物横丁駅、梅屋敷駅、六郷土手駅、八丁畷駅、生麦駅、弘明寺駅、杉田駅、金沢文庫駅、金沢八景駅
9駅
  • 上記のほか、品川駅、穴守稲荷駅は、ホーム固定柵を設置しています。
  • 上記駅以外も、設置に向けた調査・設計等を行い、引き続き各駅へのホームドア・ホーム固定柵の設置を推進してまいります。
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設置例(京急東神奈川駅下りホーム)

駅改良工事(大規模改良、ホーム上家延伸、トイレリニューアル等)

神奈川新町駅は大規模改良工事に着手し、エレベーターやエスカレーターの新設と併せて道路との接続歩道橋なども整備し、駅周辺と一体的な移動円滑化を図ってまいります。その他の駅も、雨天時の混雑緩和のためのホーム上家延伸、トイレのリニューアルなどを実施し、お客さまが鉄道をご利用しやすい環境整備を進めてまいります。

大規模改良 対象駅:神奈川新町駅(エレベーター・エスカレーター新設等)
駅舎耐震補強 対象駅:花月総持寺駅(併せてトイレ新設・コンコースのリニューアル等)
ホーム上家延伸 対象駅:黄金町駅
トイレリニューアル 対象駅:汐入駅
運行情報配信システム 対象駅:11駅(現在26駅に設置済み)
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神奈川新町駅改良後のイメージ

車両更新工事(フリースペースの設置・窓の開閉化等)

車体更新に併せ、ベビーカーのご利用や大きなトランクをお持ちのお客さまが快適にご乗車いただけるようフリースペースを設置するほか、非常通報装置の増設、固定窓の一部開閉化などを行います。

  • 車体更新:1000形:16両(8両×1編成、4両×2編成)
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フリースペース設置例
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窓の開閉化例(二段下降窓)

環境負荷低減に向けた取り組み(約10億円)

駅および車両照明設備のLED化

温室効果ガス排出量削減のため、全駅および全車両で照明設備のLED化を推進いたします。2023年度は羽田空港第3ターミナル駅など10駅のホームまたはコンコース照明設備、16両の車両照明設備LED化工事を実施いたします。

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駅照明設備のLED化例(上大岡駅)

省エネルギー設備への更新、駅舎補助電源装置の新設

駅のエレベーターやエスカレーターを更新するほか、電車がブレーキをかけた時に発生する電力(回生電力)の余剰分を、駅舎の電気設備に供給し、駅の照明や空調・エスカレーター等で有効に利用できる「駅舎補助電源装置」を変電所等設備に新設するなど、低炭素社会の実現に向けた取り組みを進めてまいります。

(節電効果見込:エレベーターの更新は最大約50%、エスカレーターの更新は約10%)

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エレベーター更新例(上大岡駅)
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エスカレーター更新例(金沢文庫駅)
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駅舎補助電源装置のイメージ

将来の成長に向けた投資(約46億円)

羽田空港第1・第2ターミナル駅引上線新設工事

将来の航空旅客の増加を見据え、羽田空港アクセスのさらなる輸送力増強、利便性向上を図るため、国土交通省と当社で相互に協力して羽田空港第1・第2ターミナル駅引上線の新設および駅改良工事を進めてまいります。

  • 引上線は列車の入換え等を行う専用線です。
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引上線のイメージ図

泉岳寺駅改良工事

泉岳寺駅および品川駅北周辺地区は将来の駅周辺地域の開発による交流人口の飛躍的な増加が見込まれております。これに伴い、泉岳寺駅のホームの拡幅およびコンコースの拡張や昇降施設、出入口などの機能強化を行い、駅の利便性、安全性の向上やバリアフリー化を図ります。また、この改良工事は駅隣接街区にて東京都が施行する市街地再開発事業と連携して進めてまいります。

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泉岳寺駅改良工事のイメージ図

鉄道オペレーション変革に向けた取り組み

アフターコロナの新たなニーズへの対応および将来の労働力人口の減少を見据え、駅務機器の遠隔操作とカメラ付き通話対応が可能なスマートサポートシステムを順次導入し、遠隔・非対面による新しい駅営業様式を拡大してまいります(2023年度は14駅に導入予定)。また、駅の信号取り扱い業務の自動化を拡大し、さらなる保安度の向上と業務効率化を進めてまいります。その他、車両や施設の保守部門においても業務の高度化に向け、ICT技術を活用したシステムの導入等を進めてまいります。

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駅遠隔監視システム
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信号取り扱い自動化イメージ
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