鉄道運行情報
2025年06月25日
エリアマネジメント「newcal」KPI大幅達成で目標を上方修正
京浜急行電鉄株式会社(本社:横浜市西区、取締役社長:川俣 幸宏、以下 京急電鉄)は、京急グループ総合経営計画(沿線価値共創戦略)に基づく京急沿線エリアマネジメント構想「newcal(ニューカル)プロジェクト」において、2024年度の沿線まちづくりに関する目標値(KPI:重要業績評価指標)を、MaaS(Mobility as a Service、モビリティ・アズ・ア・サービス)の実績を中心に大幅に達成したことをお知らせいたします。
これは、地域住民や事業者、自治体など多様な主体との共創を通じて、沿線価値の最大化を目指すnewcalプロジェクトの取り組みが着実に成果を上げていることを示すものです。目標実績の伸長を受け、2026年度までの第20次総合経営計画終了時点のKPI達成目標を大幅に上方修正いたします。
【2024年度 主要KPIの達成状況】
newcalプロジェクトでは、「①組織化」「②地域拠点整備」「③MaaS整備」「④モビリティ整備」の4つの共創活動に関するKPIを設定し、進捗を管理しています。2024年度の目標に対し、特にMaaS分野での大幅な進捗を筆頭に、すべての分野で目標を達成いたしました。
分野 | KPI項目 | 2024年度実績 | 修正目標(2026年度末) |
---|---|---|---|
①組織化 | エリアマネジメント組織(newcalファミリー) 参加団体数 |
実績:375団体 目標:360団体 |
400団体 ↓ エリア別定性目標を追加 |
②地域拠点/地域事業整備 | 地域連携で整備した 拠点や事業数(累計) |
実績:20拠点 目標:20拠点 |
30拠点/事業 ※変更なし |
③MaaS整備 | MaaSを通じた 予約・決済客数(年間) |
実績:190,858人 目標:130,000人 |
150,000人 ↓ |
MaaS登録会員数 | 実績:242,337人 目標:150,000人 |
200,000人 ↓ |
|
④モビリティ整備 | 整備したシェアモビリティ ポート数(累計) |
実績:136ポート 目標:110ポート |
150ポート ↓ |
京急グループは、今後もnewcalプロジェクトにおける4つの共創活動を通じ、地域課題の解決に取り組むことで、沿線価値共創戦略における地域と共創する統合サービス「EaaS(イアース、ENSEN as a Service)」の実現に取り組んでまいります。
newcalプロジェクト「4つの共創活動」KPI達成状況の詳細
newcalプロジェクト「4つの共創活動」KPI達成状況の詳細
組織化(仲間づくり)

京急沿線の地域課題に対し、事業者、自治体、教育機関など各団体がゆるやかに連携するエリアマネジメント組織「newcalファミリー」や、京急沿線で子育て支援活動に取り組む団体をつなぐ子育て応援ネットワーク「Weavee」などの活動を通じ、それぞれの活動をつなげ、まちづくりに取り組む輪が広がっています。
KPI項目 | 2024年度実績 | 主な実績、取り組み事例 | 修正目標(2026年度末) |
---|---|---|---|
エリアマネジメント組織 (newcalファミリー) 参加団体数 |
実績:375団体 目標:360団体 |
|
400団体 ↓ エリア別定性目標を追加 |
【事例】京急沿線活性化コミュニティ「newcalファミリー」(375団体)

地域事業者をはじめ、自治体・サポート企業・教育機関・スタートアップ・企画乗車券加盟店舗など多様な主体が参画し、ゆるやかな連携を通じた地域コンテンツの開発により、「住/働/楽/学」がそろう沿線を共創する活動を展開しています。
地域事業創出のアイデアを出し合い、繋がりを創る場として、交流イベント「newcalファミリーMeetup!」を3回開催しました。
【事例】沿線各エリアでの地域ワークショップを通じたまちづくり組織化
沿線エリアごとに異なる地域課題の解決に向け、オープンスペースの設置や活性化事業の検討などを目的としたワークショップやタウンミーティングを地域とともに実施し、まちづくりの担い手育成やまちづくり法人化を目指しています。

平和島妄想シティトーク
【おおたnewcal】

安心な運営を考えるカイギ
【横浜newcal】

【横浜newcal】

【上大岡newcal】

緑のまちづくり(おかまち)
【かなざわnewcal】

【三浦newcal】
【事例】京急沿線子育て応援ネットワークWeavee(33団体)

京急沿線の子育て環境向上を目指して活動する様々な団体が繋がることで、新たな地域事業の創出を目指す組織「京急沿線子育て応援ネットワーク Weavee」を、2023年5月に開設しました。
子育て情報を発信する「Weaveeポッドキャスト」を毎月配信しているほか、子育て世代を地域ライターとして育成する「Weaveeライター講座」や各エリアでの「Weaveeマルシェ」開催などに取り組んでいます。
地域拠点/地域事業整備(場所づくり、事業づくり)

newcalファミリーや地域で事業を行いたい方々同士と、空き家、空き店舗、遊休地といった地域資産とのビジネスマッチングなどに取り組んでいます。地域にスモールビジネスをつくる活動を通じた自発的なエリアリノベーションにより、まちに「住む、働く、楽しむ、学ぶ」居場所をつくります。
KPI項目 | 2024年度実績 | 主な実績、取り組み事例 | 修正目標(2026年度末) |
---|---|---|---|
地域連携で整備した拠点や事業数(累計) | 実績:20拠点 目標:20拠点 |
|
30拠点/事業 ※変更なし |
【事例】地域交流拠点の開設と運営を通じたにぎわい創出
地域に開かれた交流拠点やオープンスペースの整備を通じて、これまで駅前に見られなかったマルシェやイベントなど、自然発生的なにぎわいの創出やまちへの滲み出しが生まれています。地域や拠点ごとに手法はそれぞれですが、コミュニティマネージャーなど地域に関わるメンバーと共同で運営を行い、コミュニティ拠点構築を目指しています。

【おおたnewcal】

【川崎newcal】

【横浜newcal】

【上大岡newcal】

【かなざわnewcal】

【三浦newcal】
【事例】地域による古民家を活用した分散型ホテルとの共創

ミウラトラスト㈱、地域経済活性化支援機構(REVIC)、京急電鉄、三浦市、㈱横浜銀行は、地域が主体となって行う三浦市の地域資源を活かした観光コンテンツ開発と運営支援を目的に、連携協定を締結しています。
5者が、地域事業者が主体となって推進する事業を支援し、三浦市三崎地区に古民家ホテルを7館10室順次開業、好調に推移しています。
【事例】三崎地区でのクラフトビールブルワリー創業支援

【MIURA brewery】
クラフトガレージ代表の小松氏が、欧米都市への海外赴任時に地元ビールによる交流が生まれていることに感銘を受け、「三浦半島にも地元ビールによるコミュニティを定着させたい」という思いに三浦newcalとして連携、創業支援を行いました。三浦市内初のクラフトビールブルワリーの開設を目指し、約1年半の間、出店先の確保や販促計画の立案などに共同で取り組みました。
【事例】日本テレビ・さとゆめとの地域創生JV「三浦半島まちづくりプロジェクト」

「地元良品JOURNEY 三浦半島編」
三浦半島地域に根差した京急電鉄、キー局として地方にネットワークを持つ日本テレビ、地域創生事業で実績のあるさとゆめの3者が業務提携契約を締結し、三浦半島地域を舞台に地域課題の解決を目指した事業を検討しています。
2024年10月には、日本テレビによる地域WEBメディア「地元良品journey」が開始され、三浦半島の魅力を発信しています。
MaaS整備

地域の「移動」と「住む・働く・楽しむ・学ぶ」を、スマートフォンなどによりワンストップで利用できるMaaS(Mobility as a Service)に取り組んでいます。
地域や京急グループのサービスを「ひとつのWEBサービス」として、都内から三浦半島まで、多様な場所での滞在や移動をパッケージ化し、地域全体であたらしい生活基盤を共創します。
KPI項目 | 2024年度実績 | 主な実績、取り組み事例 | 修正目標(2026年度末) |
---|---|---|---|
MaaSを通じた予約・決済客数(年間) | 実績:190,858人 目標:130,000人 |
|
150,000人 ↓ (200%上方修正) |
MaaS登録会員数 | 実績:242,337人 目標:150,000人 |
200,000人 ↓ (300%上方修正) |
【事例】MaaSレベル3(サービス提供の統合)まで一部実現
MaaSサイト「newcal」は、国土交通省「日本版MaaS推進・支援事業」に2021年度から4度選定されるなど、段階的に機能の拡充を進めています。
デジタルきっぷによるパッケージ化を通じた地域との共同商品化など、MaaSレベル3(サービス提供の統合)までを一部実現しています。

【事例】おトクなきっぷ(地域共同商品)のデジタル化率が63.6%に到達(MaaSレベル3)

「みさきまぐろきっぷ」などのおトクなきっぷがデジタルチケットとして購入可能となり、既に三浦半島4券種合計でデジタル化率が63.6%に到達(2024年度)し、利用データの活用が進んでいます。
需要データに基づき料金が変動する「ダイナミックプライス」や、地域から需要の多い「デジタルスタンプラリー」など、多様な機能も順次開発、導入しています。
【事例】地域共通の予約/決済プラットフォームとして地域各施設が活用(MaaSレベル2)
地域共通の予約、決済プラットフォームとして提供、地域全体で顧客基盤を共有することで、地域経済の拡大を目指しています。交通機関だけでなく、年間数十万人が利用する観光施設やアクティビティ、シェアオフィスなども利用可能となっており、将来的な地域統合サービスの基盤として整備を進めています。

シェアモビリティ基盤の整備

生活圏における駅から先の2次交通や、高齢化が進む地域の足としての新モビリティ、乗ること自体が楽しみな観光型モビリティなど、多様なモビリティを整備する活動を「newcalモビリティパッケージ」として、newcalファミリーとともに進めています。拠点拡大を通じ、地域における移動の課題を解決し、将来のモビリティ先進地域となることを目指しています。
KPI項目 | 2024年度実績 | 主な実績、取り組み事例 | 修正目標(2026年度末) |
---|---|---|---|
整備したシェアモビリティポート数(累計) | 実績:136ポート 目標:110ポート |
|
150ポート ↓ (133%上方修正) |
【事例】駅周辺やまちなかへのシェアモビリティ共同設置「newcalモビリティパッケージ」
newcalファミリー等が展開するシェアモビリティ事業の拠点(貸出ポート)を共同で開設しています。
- ※駅・高架下等の社有地、地域店舗、公園等の近隣用地に新設したポート情報をMaaS検索へ反映することで、利用しやすい環境を整備、草の根的な拠点開発を通じて、京急沿線のモビリティ先進地域化を目指します。

【事例】他社との連携など地域交通コンソーシアムの組成
2024年に、㈱ドコモ・バイクシェアおよび㈱Luupそれぞれと、モビリティ拡充を通じた沿線価値向上に関する連携協定を締結、横浜地区では両者をはじめ鉄道、シェアモビリティ、水上交通など交通事業者7者などから構成される「関内関外都市交通ネットワーク」を組成し、将来的なMaaS連携を想定した地域全体でのポート設置などに取り組みました。
また、三浦半島エリアでは、神奈川県および㈱サンオータスと、脱炭素に向けた3者連携協定を締結し、電動モビリティやMaaSの普及啓発・利用促進に共同で取り組んでいます。

それぞれ連携協定を締結

の設立と共同でポート設置提案

三浦半島での3者連携協定を締結
【事例】各エリアでの地域交通実証の推進
地域が抱える様々な交通課題の解決や低炭素型交通の確立に向け、グリーンスロモビリティ(時速20km未満で公道を走ることができる小型電動車)の導入を進めています。横浜エリアでは、観光コンテンツ実証として、ガイド付きツアーを実施するなど事業化に向けた実証を進めています。
また、横浜市金沢区では急勾配な坂道や狭い道路が多く、バス停や駅へのアクセスが容易でない地域がある京急富岡エリア住宅地において、2018年から地域交通「とみおかーと」実証実験を実施、今後の実装に向けて行政、地域と取組を進めています。
これら地域交通の運行ノウハウを基に、LocaliST㈱と共同で「地域モビリティプロデューサー」事業として、神奈川県、品川区、箱根町など他地域へのモビリティサービス構築支援などのコンサルティング事業も開始しています。

ガイド付きみなとみらい関内地区観光ツアー

「とみおかーと」
京急沿線エリアマネジメント構想「newcalプロジェクト」について
- 開始日
2024年3月14日(木)
- 名称
「newcal(ニューカル)プロジェクト」

- 名称由来
「New」+「Local」
新しいローカル(Local)のあり方を地域の方々と⼀緒になって生み出し、その地域ならではの新しい魅力を発見(New な発見)し、より多くの人に届けていく構想です。
「Local」のあり方が今後も注目される中、京急グループがその「新しい Local」のあり方を、エリアマネジメントによって見出していく意思も込めています。
また、「ニューカル」という響きは、「new culture = カルチャー」を感じさせ、その地域ならではの新しい文化を地域の方とともに生み出していく想いも込めています。
- 目的
京急グループ総合経営計画「沿線価値共創戦略」において重視する、地域との連携を具体化する4つの共創活動の「組織化」「地域拠点整備」「MaaS 整備」「モビリティ整備」の推進を通じた将来像として、デジタル基盤とともに沿線地域が一体となったサービス「EaaS(ENSEN as a Service)」の構築を目指します。

「EaaS」(イアース)について
- 名称
EaaS(イアース) ※"ENSEN as a Service"(エンセン アズ ア サービス)の略称
- 概要
newcalプロジェクトの4つの共創活動を複合的に連携させ、特にMaaSレベル3まで一部実現したMaaSサイト「newcal」をデジタル基盤の中核とすることで、京急グループと地域事業者のあらゆる生活サービスを統合し、ワンストップで提供するサービスとして位置づけています。
EaaSを通じ、京急グループは「ローカルプラットフォーマー」として、沿線における「移動」と「住む・働く・楽しむ・学ぶ」という「暮らし」を統合していくことで、多極型まちづくりにおける新しい価値を創出します。
- 具体的なサービスイメージ(EaaSにより実現するシームレスな沿線体験)
MaaSサイト「newcal」を通じ、京急グループや地域が提供する多様な移動、生活サービスなどを予約、決済、デジタルチケットなどを同一IDでワンストップに利用できる環境を構築します。
このデジタル基盤をさらに活用し、パッケージ(セット販売)、さらにはサブスクリプション(定額制)モデルとして提供していくことも目指しています。これにより、地域とともに新たな移動や滞在の需要を共同で創出し、顧客生涯価値(LTV)重視型のビジネスモデルへの進化を目指します。
- お客さま視点でのEaaSがもたらす価値
MaaSアプリ一つで都心から三浦半島のワーケーション拠点への移動から宿泊、地域体験までが一連のパッケージ商品のように、サブスクリプション型で利用可能となるなど、これまで分断されがちだった様々な体験がシームレスにつながり利便性の高い新しい体験を得ることができます。
- 事業者視点でのEaaSがもたらす価値
デジタル基盤の活用による業務効率化、顧客生涯価値(LTV)を重視した収益構造への転換、MaaSを通じて蓄積されるデータの活用によるマーケティング強化といった価値がもたらされます。これにより、顧客接点の拡大や相互誘客が期待でき、沿線全体の活性化に貢献します。


「三浦半島週末スローライフ」