鉄道運行情報
2020年10月01日
地域交通課題解決に向けた 乗合型移送サービスの実証実験
京浜急行電鉄株式会社(本社:横浜市西区、社長:原田 一之、以下 京急電鉄)、横浜国立大学(所在:横浜市保土ヶ谷区、学長:長谷部 勇一)、横浜市、および日産自動車(本社:横浜市西区、社長:内田 誠、以下 日産)は、2020年10月11日(日)より、横浜市金沢区富岡エリアにおいて「乗合型移送サービスの実証実験」を開始します。京急電鉄、横浜国立大学、横浜市の3者が2018年より開始している本プロジェクトに、今年度からは新たに日産が参画のうえ、過年度よりもサービス品質を改善し、実証実験を行います。
京急電鉄、横浜国立大学および横浜市は、これまで急勾配な坂道が多く、バス停や鉄道駅へのアクセスが容易でない地域があるなど、交通課題を抱えた同地区において、過去、「路線定期運行」と「フリーエリア運行」に分け、実証実験に取り組むことで、今後の交通システムの在り方について検証を重ねて参りました。
今年度は、「路線定期運行」では、過去の実証実験で利用者からいただいた、「より広範囲で利用したい」や「さまざまな場所から乗車したい」といったご要望に対して、「対象エリアの拡大」と「手挙げによる路線上での自由乗降」を追加しました。また「フリーエリア運行」では、「地域の移動ニーズに合ったエリア設計が必要」、「前日予約が必要なので急な移動に使えない」というご意見に対して、「京急富岡駅・能見台駅や京急ストア能見台店などと接続し地域の移動ニーズに合わせたエリア設計」、「最短当日15分前(※電話予約は最短当日60分前)まで配車予約可能」と利便性を大幅に向上させます。
本実証実験には、下記URLにアクセスいただき利用登録することで、どなたでもご参加いただけます。
利用登録:https://one-mobi.jp/tomio-cart/
今年度は、無償実験(10月~12月)、有償実験(2021年1月中旬以降)の2段階で行い、今後の事業化に向けた検証を予定しています。
なお、本実証実験は、2018年7月に、京急電鉄と横浜国立大学が締結した「産学連携の協力推進に係る協定」、横浜市と京急電鉄が締結した「京急沿線(横浜市南部地域)における公民連携のまちづくりの推進に関する連携協定」に基づき、地域活性化に寄与し住みよいまちづくりを目指すものです。
沿線の地域交通課題解決に向けた乗合型移送サービスの実証実験について
使用車両
運行ルート | 路線定期運行 | フリーエリア運行 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
車種 | グリーンスローモビリティ(グリスロ) | セレナe-POWER(日産) | NV350キャラバン(日産) | |||
車両イメージ | ||||||
乗車定員 (運転手を除く) |
3人 | 3人 | 4人 |
- ※グリスロ:電動による時速20km未満で公道を走る4人乗り以上のモビリティ
- ※新型コロナウイルス感染症対策として、通常定員より乗車定員を制限しております。
実証実験について
実施期間
無償実証実験 | 2020年10月11日(日)~12月11日(金) (土曜・第4水曜などを除く45日間) ※詳細な運行情報は実証実験ホームページをご覧ください。 |
---|---|
URL | https://tomio-cart.jp/ |
実施概要
利用対象者 | 富岡エリアにお住いの方や来街者の方々 |
---|---|
乗車運賃 | 無償実証実験期間については無料 |
運行時間 | 9:00~17:00 |
ドライバー | 現役タクシードライバー(京急タクシーグループの乗務員) |
路線定期運行 | 乗車時:ルート上の任意の位置にて手挙げすることで最寄りの安全な地点から乗車 降車時:降車したい場所付近でドライバーに声がけ |
フリーエリア運行 | 乗車時:専用アプリ(もしくは電話)で、乗降ポイント・乗車人数・時間を自由に指定して配車予約する移動サービス |
昨年からの主な変更点
路線定期運行
乗降 | 停留所での乗降から手挙げ乗降(フリー乗降)に変更 |
---|---|
駅への利便性 | 全ての路線を京急富岡駅に直結 |
フリーエリア運行
サービスエリア | 京急富岡駅・能見台駅・京急ストア能見台店などに移動できるよう運行エリアを大幅に拡大 |
---|---|
予約方法 | 専用アプリ(または電話)での予約。14日先から最短当日15分前(電話予約は最短当日60分前)まで配車予約可能。 |
運行ルート・運行エリア
無償実証実験
路線定期運行 | |
---|---|
|
|
|
フリーエリア運行 | |
---|---|
|
|
|
- ※運行ルート・運行エリア及び乗降ポイントは一部変更になる場合がございます。
有償実証実験
過年度実証実験や無償実証実験を踏まえて、運行ルート・運行エリア及びポイント、運賃を設定いたします。
- ※2021年1月中旬以降を予定
エネルギーマネジメントとの連携実験
予備車両(EV)の蓄電池から電力システムへの調整力提供による収益源の拡大に向けた検証
新型コロナウイルス感染症対策
マスク着用の徹底、手指の消毒、クレベリン設置、飛沫防止シートの設置、乗車人数制限等
参考
京急電鉄×横浜国立大学「産学連携の協力推進に係る協定」について
2018年7月4日に締結した協定で、京急沿線地域における高齢化や人口減少などによる交通課題について、京急電鉄が長年培ってきたまちづくりのノウハウと、横浜国立大学がセンター・オブ・イノベーション(COI)プログラム※による活動で積み重ねた交通に関する研究の実績と経験を融合させ、新しい交通システムによる沿線地域の交通課題の解決と、持続可能な郊外住宅地の実現を目指す協定。
- ※センター・オブ・イノベーション(COI)プログラムについて
10年後の目指すべき社会像(ビジョン)を見据えたチャレンジング&ハイリスクな研究開発を支援する,科学技術振興機構(JST)による産学連携の研究開発支援プログラム(2013年~2021年)。
横浜国立大学は、持続的共進化地域創成拠点のサテライト機関として、「自家用車に依存することなく、誰もが無理なく出かけ続けられる郊外地域」というビジョンを掲げ、輸送システム、交通案内システム、乗り継ぎ空間などの交通システムに関する研究開発をしており、市街地における高頻度小型乗合車両の運用やカーシェアリングの運用などの実績がある。
京急電鉄×横浜市「公民連携のまちづくりの推進に関する連携協定」
2018年7月24日に締結した協定で、京急沿線の横浜市南部地域において、将来を見据えた沿線地域の魅力向上にむけ、公民連携による取り組みの可能性について議論を重ね、生活を支えるサービスの充実や地域交通の確保、空き家・空き地対策など総合的なまちづくりを協働して推進していくことを目的とした協定。
日産自動車のモビリティサービスに関する取り組みについて
モビリティサービスの領域において、電気自動車やe-POWER車などの電動車両を用いたカーシェアリングサービス「日産eシェアモビ」の提供に加え、横浜市みなとみらい地区では、将来の無人運転でのモビリティサービスを目指した「Easy Ride※」の実証実験を株式会社ディー・エヌ・エー(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長兼CEO:守安 功)と共同で、複数回実施。
本実証実験を通して、自動車会社が産学官の連携に寄与することで、単なる移動手段の提供だけではなく、地域や商圏全体の活性化を狙った"街づくり"へも貢献。また日産としては、本実証実験を通して、将来の無人運転でのモビリティサービスの提供に繋げていくことも視野に、本取り組みに参画している。
日産は横浜市と2019年に包括的な連携協定を締結しており、今後も横浜市をはじめとした地域社会発展に貢献し、社会課題解決に引き続き取り組んでいく。
なお本実証実験で使用する専用アプリは,株式会社長大の協力のもと共同で開発した。
- ※「Easy Ride」は株式会社ディー・エヌ・エーと日産の登録商標です。
株式会社長大について
長大は建設コンサルタントとして長大橋をはじめとする社会インフラの整備・維持管理等の公共事業を中心に取り組んでおり、近年は、社会インフラの整備による地域創生やまちづくりなどの観点から、民間企業とも連携し様々な取り組みを進めている。
その一環として、交通分野においては、オンデマンドシステムなどのIT技術も活用し、地域公共交通計画など地域の交通課題解決に向け自治体の取り組みを支援するとともに、MaaS等を見据え、新たなモビリティを活用した持続的に運用可能な地域交通のあり方を検討・提案している。
本実証実験では都市部における新たな交通手段を構築し、地域の方々に便利に利用いただける移動手段の提供、それに伴う地域の活性化などを目指し、共同実施者として本取り組みに参画している。