鉄道事業

2023年度鉄道事業成績

営業キロ 客車走行キロ 旅客運輸収入 輸送人員 客車車両数 延人キロ
87.0(㎞) 108,993(千km) 74,818(百万円) 433,254(千人) 790(両) 5,713(百万人キロ)

事業概要

京急線は、都心から川崎・横浜・横須賀を経て三浦半島に至り、沿線住民の暮らしを支えています。一方で、羽田空港の航空需要の増大にあわせ、羽田空港アクセスを強化。安全・安定した輸送サービスを通じ、沿線地域の発展にも貢献しています。

安全・安心への取り組み

安全方針

京急電鉄では、鉄道安全管理規程において「事業の運営について、安全の確保を第一の課題として行う」と明確に定めています。その基本方針を安全方針として定め、「安全最優先」「鉄道安全管理規程に基づく安全確保」「法令や規程等の順守」を掲げています。また、安全方針を踏まえた目標として、有責事故0件の継続を目指し取り組んでいます。

安全方針
  1. 1.安全最優先の意識の徹底を図るとともに、鉄道安全管理規程に基づき、安全確保に全力を傾ける。
  2. 2.お客さまや社会の信頼に応えるため、法令や規程等を順守し、厳正・誠実に職務を遂行する。

安全管理体制の構築・改善に向けた取り組み

安全管理体制は、計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→見直し・改善(Act)の体制(PDCAサイクル)を繰り返していくことが大切です。京急電鉄では、鉄道安全管理規程をはじめ、現在行っている体制を常に見直し、改善に向けた取り組みを行っています。

鉄道安全管理規程に基づくPDCAサイクル

安全への設備投資

2024年度は、引き続き「品川駅付近や大師線の連続立体交差事業」、車両更新、ホームドア設置工事などを推進するほか、新たに全車両へ防犯カメラ設置を進めてまいります。
これにより、総額324億円の設備投資を計画しています。

安全への設備投資(2024年度計画)
2024年度計画 2023年度設備投資実績
総額 324億円 249億円
❶安全関係設備投資額 246億円 223億円
(1)ホームドア設置工事 45億円 27億円
(2)連続立体交差工事 62億円 38億円
(3)防災・地震対策 8億円 7億円
(4)駅改良工事(耐震補強含む) 45億円 39億円
(5)新造車両・車両更新 20億円 46億円
(6)変電所・電気保安設備などの電気施設の更新・改良 26億円 32億円
(7)その他の安全対策 40億円 34億円
❷その他 78億円 26億円

テロ対策訓練

鉄道を狙ったテロ等が発生した際に、迅速に対応できるよう、乗客の避難誘導体制や警察、消防との連絡通報協力を確認するために実施している訓練です。2023年度は他社で発生した薬品流出事案を受け、「走行中の列車内で乗客が叫びながら薬品を散布した」という設定で訓練を実施しました。また、今回はタブレットを用いた、車掌と旅客サービス司令間の映像通話による状況通達訓練を新たに実施しました。

鉄道事故総合対応訓練

万一、重大事故が発生した際に迅速に対応できるよう、毎年秋に鉄道事故総合対応訓練を実施しております。2023年度は「踏切道に侵入した車両と列車が接触し列車が脱線、乗客に負傷者が発生し、軌道、電路、通信設備などに被害が発生した」という設定で訓練を実施し、その対応方法をベテランから中堅や若年層社員への技術継承も行いました。

羽田空港第1・第2ターミナル駅引上線整備事業

将来の航空旅客の増加を見据え、羽田空港アクセスのさらなる輸送力増強、利便性向上を図るため、国土交通省と京急電鉄は相互に協力し、羽田空港第1・第2ターミナル駅引上線の建設および駅改良を進めてまいります。

  • 引上線は列車の入換え等を行う専用線です

連続立体交差事業

大師線連続立体交差事業

川崎市の都市計画事業である大師線連続立体交差事業のうち、段階的整備区間として、2019年3月に地下へ切り替えました。これにより、産業道路第1踏切道(東京大師横浜線)を含む4か所の踏切が除却され、東門前第2踏切道が廃止されたことで、踏切事故の解消や道路交通の円滑化が図られました。また、2023年12月に大師橋駅の新駅舎を使用開始しました。2024年度は、引き続き地上部整備工事や、小島新田駅の旅客用トイレ新設工事などを施工してまいります。

大師橋駅新駅舎
小島新田駅ホーム

品川駅付近連続立体交差事業

泉岳寺~新馬場駅間においては、品川第1踏切道(八ツ山通り)をはじめとする計3か所の踏切道が存在し、踏切事故や交通渋滞の要因となっています。そのため、東京都の都市計画事業として同区間を高架化し、3か所の踏切道を除却します。また、品川駅を地平化および2面4線化し、利便性および安全性の高い駅へと再編します。2020年4月に同区間の連続立体交差事業が都市計画事業として認可され、2021年度に工事着手しました。2024年度も引き続き工事を進め、早期事業完了を目指していきます。

出典:国土地理院発行 2.5万分の1地形図

ホームベンチ更新について

ホームに設置している木製ベンチは経年による劣化が進んでいることから、順次樹脂製ベンチへ更新しております。また、線路への転落を防止する対策の一環として、ホームドア未設置駅におけるベンチ更新に合わせ、線路と直角に列車の侵入方向へ向けての設置を進めております。

カラー電子ペーパー実証実験について

2023年5月から羽田空港第1・第2ターミナル駅等において、日本初となる25.3型フルカラー版「DNP電子ペーパー Powered by E Ink」を実証実験の一環として導入しました。
電力をほとんど消費せず画像の表示や切り替えが可能となり、駅時刻表やPRしたい情報、緊急時の案内といった色々なコンテンツを需要に応じて表示することができます。

快適な移動サービス

非対面型の新しい駅営業様式

「スマートサポートシステム」

新しい生活様式および将来の労働力不足に対応し、持続可能な鉄道事業運営を目指すため、一部の駅で駅務機器や駅設備の遠隔操作とモニターホンによる通話対応が可能なスマートサポートシステムを導入しております。
スマートサポートシステム導入により、アフターコロナにおける非対面ニーズにも対応した新しい駅営業様式が実現しました。
2021年度に5駅、2022年度に7駅、2023年度に12駅、2024年度(7月末時点)に2駅の計26駅導入しており、今後も順次拡大していきます。