【和】サツマイモのきんつば
満願堂の「芋きん」1個105円。


サツマイモを使った銀より上の、金色の和菓子

秋の味覚のひとつ、サツマイモ。焼いてもふかしてもおいしいサツマイモは、おやつとしての印象が強いかもしれませんね。そのサツマイモのルーツをたどれば、メキシコを中心とする中央アメリカあたりに行き着きます。そこからインド、東南アジアを経て、日本へ上陸したのは、17世紀初めの九州地方。南九州・薩摩を中心に普及したため、サツマイモとなったようです。

これを全国に広めたのは、青木昆陽(あおきこんよう)。彼の進言により、江戸幕府が薩摩藩から献上させ、全国に普及させたと伝えられています。江戸時代の飢饉の時には、救荒作物(きゅうこうさくもつ)として多くの人々の命を救いましたが、今では、美容にも健康にもよい食品として重宝される一方、スイーツの世界でも大活躍しています。その数あるスイーツの中から、今回は「芋きんつば」に注目してみました。
きんつば(金鍔)は、小麦粉を水で溶かした生地であんを包み、鉄板で両面と側面を焼いた和菓子です。もともとは、徳川五代将軍綱吉の頃に、京都で生まれた「ぎんつば(銀鍔)」という焼餅。小豆あんをうるち米の粉で包んで焼いたもので、刀の鍔のように平らな円盤型だったので、その名がついたそうです。ところが、京都から江戸に伝わると、「銀よりも金の方が上」つまり「景気がよい」からと「金鍔」と呼ばれるようになりました。粋な江戸っ子らしい発想ですね。

この頃、あんを包む材料も小麦粉に変わり、明治時代には、寒天を用いて粒あんを四角に固めた「角きんつば」が考案されます。サツマイモでつくった芋あんを包んだものや、四角く切った芋ようかんの各面に生地をつけて焼いたものは「薩摩きんつば」と呼ばれました。今でも、この名前の和菓子がありますが、浅草・満願堂の芋きんつばは「芋きん」として親しまれています。


一度は食べたい、あの店のスイーツ

満願堂本店 
東京都台東区浅草1-21-5

芋きん6個入り630円、
10個入り1,050円、
15個入り1,575円

芋きん
焼きいもの甘さと香ばしさ。
焼きたてがおいしい浅草名物。


直方体のきんつばの表面を順番に焼いていく。浅草名物、満願堂の「芋きん」は、その実演でもおなじみのサツマイモのきんつばだ。江戸時代「年期増してもたべたいものは 土手のきんつば さつまいも」と、浅草吉原の花魁や太夫の心を捉えた名物があった。「土手」とは昔の遊郭の掘割のこと。「芋きん」は、この「土手のきんつば」を再現した生菓子だ。

(左)浅草本店の和田壮一店長。「秋はサツマイモの季節です。新芋で作った芋きんを、ぜひお試しください」。

(右)浅草本店は1999年にオープン。サツマイモのソフトクリーム280円も年間通して販売。


あんの材料となるサツマイモは、九州産の高系14号。太くて甘く、焼きいもに最適なサツマイモだ。このサツマイモを使うのは、芋きんが「蒸かしいも」ではなく「焼きいも」で作るきんつばだから。焼きいもを使うと色合いが違ってくるからで、「金つば」の金色を出すためのこだわりなのだ。もうひとつのこだわりは、サツマイモの繊維を残すことで、食感を楽しんでもらおうというもの。砂糖はほんの微量使うだけで、サツマイモ本来の甘みを生かしている。練りあげた芋あんは、釜で炊いて一晩置いて冷ます。それを四角くカットして、生地を水で溶いたものに付けながら焼いていく。生地には、小麦粉の他にサツマイモの皮を粉末にしたものを混ぜている。これも色を出すための工夫だ。こうやって手間隙かけて作る芋きんは、焼きたてをすぐに食べるのが一番。持ち帰って食べる場合は、オーブントースターで焼いて食べるといいそうだ。皮のパリッとした感じがよみがえり、おいしくいただける。

(左上)その他の人気商品、力餅137円。
(左下)羽田空港店は、第2ターミナル2F出発ロビー、東京食賓館(時計台1番前)にある。

(右)鉄板に、ひとつずつ生地をつけては並べていく。リズミカルな作業は見ているだけで楽しい。

Data
●イートイン/なし(ただし、店前にあるベンチで焼きたてを食べることはできる)
●テイクアウト/あり
●お取り寄せ/なし
●賞味期限:24時間以内
●営業時間:平日10:00〜20:00、土・日・祝日9:30〜20:00
●定休日:無休
●都営浅草線浅草駅から徒歩5分
●TEL 03-5828-0548
その他の店舗
●羽田空港店(03-5757-0040)
●吾妻橋店(03-3622-3128)
●松屋浅草店(03-3841-9561)
●横浜そごう店(045-465-2216)など

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